水族館ってどうしてこんなに魅力的なんだろう?
そんな疑問を持ったあなた!
そんなあなたにぜひお読みいただきたい本を今回はご紹介していきましょう。
専門書、絵本、図鑑、どれをとっても、水族館を愛し、生きもの守りたいと心から願う著者の皆さんの思いがきっと伝わってくるはずです。
Contents
水族館の歴史とロマンを味わいたい方へおすすめの本
[itemlink post_id=”13632″]何より、本書のサブタイトルが印象的です。
「ひと・動物・モノがおりなす魔術的世界」!
そうなのです。文字のとおり、水族館には「魔術的な世界」が広がっています。
人間は古代から、水の中の世界とそこに生きる動物たちに憧れと恐れを抱いてきました。
探検家や研究家により、一歩・また一歩と未知なる水中現象にメスが入っていった歴史に、水族館の発展が沿い続けてきたことがうかがえます。
しかし、水族館の歴史を作り上げてきたのは専門家だけではなく、そこに暮らす国民、そしてバックにある大衆文化であったことも事実です。
魔術的世界、と言いつつも、確実に「在る」文化と歴史がミックスされ、その国ごとに様々なタイプの水族館が発展した事実を本書では多角的に紹介されています。
時にはロマンたっぷりに、また時にはある種の罪悪感を漂わせ、そして大きな高揚感を与えてくれる本書を通して、人間がどれだけ水族館という存在に情熱を捧げ、大切にしているのかが伝わってくるのです。
またページを進んでいくと、古い時代の水族館をイラストやカラー写真を取り入れながら紹介されている上に、最新情報に近い海外の水族館フォトもたっぷり掲載されています。
本書で海外をちょっと旅したような、そんな気分も味わえる「ワクワク感付き専門書」といえるでしょう。近年、水族館の在り方の一つとして「イルカショー」が大きな課題となっています。
本書の最終章ではこの課題も取り上げ、「動物の権利」・「動物の福祉」について書かれている点もぜひおすすめしたい本であるポイントの一つです。
<著者について>
溝井 裕一。関西大学文学部教授。文学博士。専門は西洋文化史、ひとと動物の関係史、ドイツ民間伝承研究。生物関連の著書に「動物園の文化史―ひとと動物の5000年」(勉誠出版・2014年)がある。本書にて「2018年度第40回サントリー学芸賞」を受賞。
[itemlink post_id=”13632″]水族館をマニアックに知り尽くしたい方へおすすめの本
[itemlink post_id=”13633″]20代、30代、そして70代の水族館ファン3人と、案内役である水族館の飼育課長の対話形式で書かれている本で、水族館の歴史、現在の課題から未来の在り方まで幅広く、しかも深く突っ込んだ内容であるところが特徴です。
水族館に行った人なら一度は疑問に思ったことがあるはずの、「どうやって魚たちを連れてくるんだろう?」、「誰が採ってくるの?」といった素朴な疑問から、飼育や繁殖、イベントや海外の水族館情報までしっかりと記載されています。
飼育員による生きものとの間で起こったエピソードも描かれているので水族館の裏側ウォッチングに参加したような感覚にもなれますよ。
この本を携えて水族館を回れば、どんな質問にも答えられそうなので同行者の尊敬のまなざしを独り占めできること、間違いなし!
また一方で東日本大震災の際に水族館がどのような状態に置かれたのか、という危機的状況にあった当時についてもふれられています。
私たちが当たり前のように水族館を楽しめる、ということそのものがどれだけ恵まれていることだったのかをふと考えさせられる文面もあり、最後に書かれている「水族館は平和の賜物」という言葉がとても重く感じられるのです。
タイトルが「大人のための」となっていますが、まわりの大人が水族館を深く知ることで、これからの時代を担うこどもたちに素晴らしい水族館環境を残してあげるきっかけとなります。
水族館を守ることそのものが、ひいては自然環境を守る意識へとつながっている、そんなことを思わせてくれるガイドブックです。
<著者について>
錦織 一臣 監修。東京水産大学(現東京海洋大学)水産学部卒。福島大学大学院地域政策科学研究科修了。小笠原水産センター・恩賜上野動物園・多摩動物公園を経て、現在葛西臨海水族園副園長。
[itemlink post_id=”13633″]イルカを愛する方へおすすめの本
[itemlink post_id=”13634″]2007年夏に公開された映画「ドルフィンブルー・フジ、もう一度宙(そら)へ」の原作となった本。
病気で尾びれを切断せざるを得なくなった一頭のイルカと、イルカを再度ジャンプさせたい獣医師とその水族館スタッフ、そして人工尾びれの開発に携わった日本のタイヤメーカーとの実話です。
3年間という長い月日、著者が実際に水族館を取材し続けただけあり、人工尾びれの開発プロジェクトの内容に留まらず、水族館で野生生物を飼育することの大変さや苦労、だからこそ起きる感動や学びをリアルに描いている本です。
新人獣医師が、水族館スタッフの協力を得ながら、動物飼育とはまったくの異分野であるゴムタイヤ開発者と共に一頭のイルカのために前進するにはどれだけの情熱エネルギーが必要だったことでしょう。
また一方で、車タイヤの専門技術者がこれまた関わったことのない「イルカの尾びれ造り」を受け入れ邁進する姿に、共通の目標を掲げることの重みと素晴らしさを感じずにはいられません。
最終的に人工尾びれでジャンプできるようになったこのイルカは全国の話題となり、多くの来館者に感動を与えました。
水族館を舞台とした本書ではありますが、生きものをより良く飼育し続ける方法は動物関連とはかけ離れているはずの異分野との協力で実は無限に存在し得ることを痛感させてくれる、そんな一冊です。
将来、水族館で働きたいと考えている方々にはぜひ読んでいただきたい本でもあります。
<著者について>
岩貞るみこ。モータージャーナリスト、ノンフィクション作家。女性誌、一般誌、自動車専門誌、ウェブ、テレビ、ラジオ、講演会などで活動。本書執筆のため3年間水族館で取材を続けたことが、命の大切さをこどもたちに伝える児童書ノンフィクションを書き始めるきっかけとなった。
[itemlink post_id=”13634″]こどもたちと盛り上がりたい方へおすすめの本
[itemlink post_id=”13635″]水族館の中で魚を見るとつい口から出てしまう、「これって食べることできるのかな?」というフレーズ。
ああ、私も言ったことあるわ…なんて方も少なくないでしょう。そこをズバリ、本書はテーマにしてしまっているのが面白いところです。
回転寿司屋さんでくるくると回り続ける魚の切り身とシャリをそのものの写真で載せている横のページに、本来の(切り身でない)魚や貝たちが愛らしいイラストで描かれ、生態や特徴が載っています。
また「回転寿司になれない魚たち」も登場し、お寿司にはなれないけれど魅力的な一面がわかりやすく描かれています。
お寿司と生態、両方の側面から魚たちを観察できるので小さなお子様からお年寄りまで、どのページから開いても、思わず笑顔になれそうな一冊です。
ちなみに巻末にある「魚偏(うおへん)」の漢字を読み当てるクイズは家族や友達とぜひやってみたいところ。
「見たことある漢字」と「読める漢字」は明らかに異なります!みなさんはどれだけ読めますか?
<監修者について>
松浦 啓一。東京水産大学水産学部増殖学科卒。北海道大学大学院水産学研究科博士課程修了。国立科学博物館動物研究部研究官となり、室長・部長を務める。退官後は当館名誉研究員となり、現在も海の魚を中心に研究を続けている。
[itemlink post_id=”13635″]科学とイラストの神秘的コラボを体感したい方へおすすめの本
[itemlink post_id=”13636″]言わずと知れた生物界の革命者・ダーウィンが説いた進化論「種の起源」の絵本版。
驚きなのが、生命研究を学んだ著者が芸術家として進化論に携わったという点です。
この絵本を手に取ると、何とも言えないファンタジーの世界が目の前に広がります。
そのイラストの色彩がリアリティの世界である生き物の進化をすさまじく美しいものとしながらとてもわかりやすく進化論を説いているのです。
内容はもちろん、「センスオブワンダー」の世界。
生物は日々進化しているというダーウィンの大発見がさまざまな動物たちの登場により展開されていきます。
多くの人々がおそらく教科書で学んだ進化論ですが、実際のところ日常生活でこれらを思い出すという場面はほとんどないでしょう。
しかし、今私たち人間をはじめ、多種多様な生き物がこの地球上に存在するのはダーウィンが長い時間思索を巡らせてたどり着いた法則に基づいた命たちです。
そんな身の上に起こっている科学の法則をデザイナーでもある著者が絵本を通して伝えるという、とても画期的なものとなっています。
実は、進化論そのものも、今現在において日々進化しているといわれています。
その一つとして「エピジェネティクス」があります。環境の影響など後天的に得られた特性も一部遺伝することがあり得る、という考え方で、実は本書では最後にこの考え方にもふれています。
今ある科学、定説とされている説が絶対ではなくそれ自体も進化することも伝えようとしているなかなか奥深い絵本でもあります。
何度も読み込んで進化論にハマるのも良し、イラストの美しさを愛でるインテリア本としても良し、のこれまでにはないタイプの一冊といえるでしょう。
描かれている生き物たちのまなざしがとても柔らかで癒し効果も抜群!
うすい萌黄色がベースの本なので、手元に自然となじんでくれるのもうれしいポイントです。
<著者について>
サビーナ・ラデヴァ。イギリス・ロンドン在住のグラフィックデザイナー、イラストレーター。ドイツのマックス・プランク研究所で分子生物学を学んだのち芸術家となることを決心し、イラストの勉強を始める。科学とアートを結びつけるような仕事に情熱を注ぐ。本書が初の出版作品。
[itemlink post_id=”13636″]最後に
いかがでしたか?
水族館に関する本は、まだまだたくさんあります。
ここでご紹介した本は、ほんの一部の、また一部!
水族館で働く飼育員に、どんな本がおすすめかを尋ねてみるのも面白いかもしれませんね。
素晴らしい本との出会いによって、皆さんの水族館世界がもっと深く広がりますように!